通風のチカラ
風を通すために必要な3つの要素
木陰で昼寝をしているところにそよそよと風が吹いてきたら、
最高に気持ちいいですよね
風の出口(北側)
南側の大きな窓から入った風が、北側の小さな窓へ抜けていきます
風の入口(南側)
窓を小さく開けると
風の流れは少なめに
窓を大きく開ければ
風も大きく流れます
夏の日差しをしっかりブロックできたなら、
次にすべきは、
室内に涼しい風を通すことです。
日差しをさえぎって日陰となった室内に、
外部からさわやかな風が吹き込んでくれば、
暑い日でも、意外と心地よい涼感が得られます。
木陰で昼寝をしていたら、
そよ風にそっと頬をなでられるような……。
詩的な表現をすればそんなカンジです。
心地よい風といっても、
エアコンのような冷風が、
間断なく吹きつづけるわけではありません。
でも、だからこそ、
身体にやさしい夏が過ごせるのです。
入口、出口、通り道
夏の室内にさわやかな風を通すには、
以下の3要素が不可欠です。
①風の入口
②風の出口
③風の通り道
一般に、風は南から北に向けて吹きます。
したがって、
建物南側に大きな窓、建物北側上部に小さめの窓を
配置しておくと、2つの窓がそのまま風の「入口」
と「出口」になります。
室内を抜ける風の量は、
出口となる北側の窓の開き具合で調整。
大きく開ければ風量は大きく、小さく開ければ
風量は小さくなります。
風の通り道は、
風の入口から出口までを、間仕切壁や建具で妨害
しなければ、スムーズに確保できます。
当たり前といえば当たり前なのですが、
間取りや部屋数の都合を優先するあまり、
風の通り道をふさいでつくられる家は意外と
少なくありません。
ただし、
風通しにこだわるあまり、間仕切壁の少ない、
あけっぴろげな間取りにするのは考えもの。
今度は逆に、プライバシーの確保に難が出ます。
窓の大きさと同じく、
こちらも全体のバランスを見ながら調整していく
必要があります。
風が流れていきやすい「通り」を意識しながら、
暮らしやすい間取りの計画にも手を抜かない。
ありそうで意外とないのが、
じつはそんな家なのです。
真夏の室内を風が吹き抜ける快感は、
一度味わうと病みつきになりますよ。
風の出口として設けられた北側上部の窓。家全体に風を通すためには、北側のできるだけ高い位置に窓を設けるのが基本です。この窓は冬も少し開けておくと、余分な湿気が排出されて結露の防止にもなります。風(気流)は、夏にも冬にも大切にしたい、偉大な自然のチカラです